ゆかたまつり外部イベント大学祭活動記録解説

大学祭で受けるゲームの作り方

こんにちは、ゲーム制作同好会所属のニンです。たいそうなタイトルつけたなおいと思ったそこの方。

自分が一番震えている。

この記事は広島大学HiCoder & ゲーム制作同好会GSD Advent Calendar 2025の3日目の記事です。以下のリンクでほかの記事も読んでみてくださいね。

広島大学 HiCoder & ゲーム制作同好会GSD Advent Calendar 2025 - Adventar
# 概要広島大学コンピュータサークルHiCoderとゲーム制作同好会GSDのアドベントカレンダーです!広島大学・大学院関係者(在学者、卒業生、OB、教員)なら誰でもOK! HiCoder・GSD以外の方の記事投稿も大歓迎です!テーマは自由で...

皆さん、ゲーム制作を楽しんでいますか?

この記事を開いてくれた方は、すでにゲームを作ったことがある方、あるいはこれから作ってみたいと考えている方が大半だと思います。

私たち広島大学ゲーム制作同好会(GSD)では、毎年7月の「ゆかた祭り」と11月の「大学祭」にて、制作したゲームの展示を行っています。おかげさまで毎回大盛況をいただき、ピーク時には満席でお待ちいただくほどの人気ぶりです。

自分も今まで何度か出品したことがあり、毎回自分のゲームが遊ばれるのも、ほかの人のゲームをプレイするのも楽しみにしています。

さて、今回はそんな大学祭での展示経験から導き出した、「大学祭でウケるゲームの作り方」の一例をご紹介します。あ、あくまで経験則なので批判などは甘んじて受け入れます……でも結構当たっているとは思います。普遍的なものでしょうしね

ゲームを作る目的は何ですか?

突然ですが、皆さんがゲームを作る理由は何ですか?

  • どうしても作りたい理想のゲームがある
  • プログラミングの勉強として
  • プレイする人を喜ばせたい

もしあなたが「作りたい理想のゲームがある」なら、その情熱のままに突き進んでください。理想が形になっていく喜びは何物にも代えがたいものです。そういった人もサークルには多数所属しています。

しかし、もし「プログラミングの勉強として」「多くの人に楽しんでもらいたい」という目的であれば、今回ご紹介する方法がきっと役に立つはずです。なぜなら、この方法は実際に多くの人にプレイしてもらえ、かつ好反応を得られた実績があるからです。

人に遊んでもらえるとそれは代えがたいモチベーションと自信になります。今後創作活動を続けていくうえでかなりの糧になると思います。

それでは、具体的なポイントを解説していきます。

ポイント①:シンプルなゲームを作れ!

一つ目のポイントはずばり、「シンプルなゲームを作ること」です。 ここで言う「シンプル」とは、クリアに必須となる要素が少なく、操作が直感的であることを指します。

プレイヤーが覚えなければならない「要素(ルールや操作)」を極限まで減らすことが重要です。例として、初代『スーパーマリオブラザーズ』を想像してみてください。初めてマリオに触れるプレイヤーが理解すべき要素は、これだけです。

  1. 移動: 十字キーの横方向で進む
  2. ジャンプ: Aボタンで跳ねる
  3. 敵(クリボー): 当たるとミス、踏むと倒せる
  4. 穴: 落ちるとミス

本来はダッシュやブロックなどの要素もありますが、クリアするだけなら上記を知っているだけで遊べます。 展示用ゲームでは、この「クリアに必須の要素」を極限まで削ぎ落とすことが大切です。

なぜシンプルさが重要なのか?

では、なぜ要素を少なくする必要があるのでしょうか。ここで、大学祭にはどんなお客さんが来ているのかを考えてみます。 私たちのサークルで集計した、プレイヤーの年齢層データをご覧ください。
このアンケートはサークル独自のゲームランチャーを通じて収集されています。ランチャー開発陣の皆さん、ありがとうございました。

ご覧の通り、小学生やそれ以下の低年齢層のお子さんが非常に多いことが分かります。また、普段あまりゲームに触れない大人の方も多くいらっしゃいます。

この客層データから導き出される答えは一つ。 「高い認知能力が要求される、複雑なゲームは伝わりにくい、遊びにくい」ということです。

言い換えると、ゲームプレイの経験値がない人が多いと言えます。

ゲームを作る際は、ぜひ以下の項目をチェックリストにしてみてください。

  • 操作は難しくないか?(ボタンを何個も使っていないか)
  • ゲーム開始直後の情報量が多すぎないか?
  • テキスト(漢字や言い回し)が難しすぎないか?

これらを意識するだけで、大学祭という環境にマッチした、多くの人に楽しんでもらえるゲームになるはずです。

操作デバイスの壁:キーボードへの配慮

特に操作に関しては、以下の点に注意が必要です。

  1. 展示するゲームの多くはPC(キーボード)操作である
  2. 来場者の多くは、キーボードでのゲーム操作に慣れていない

「WASD移動」などは、ゲーマーにとっては常識でも、一般の方やお子さんにとっては非常にハードルが高い操作です。 対策として、以下の実装をおすすめします。

  • 操作をできる限り大きいキーに一任する(Space、Enter、Shiftなど)
  • マウスクリックだけで操作できるようにする

たったこれだけでも、劇的に遊ばれやすさが違います。ぜひぜひ

ちなみに、矢印キーもあまりお勧めしません。
矢印は直感的でわかりやすいと思いがちですが、普段キーボードを触れていない人にとっては、矢印キーを常に見なければそのわかりやすさは発揮されません。
普通子供たちは画面のほうを一生懸命見るので、結局WASDと変わらないのです。

シンプルなゲームについては桜井政博さんの動画でも触れられています。ぜひ見てみてください。

ポイント②:開始3分で魅了せよ(難易度インフレの活用)

「ウケる」ために必要なもう一つの要素は、開始5分以内に面白いと思わせることです。
こちらも、お客さんの滞在時間をまとめたアンケートがあるので見てみましょう。

0~1が異常に多いのは、GSDメンバーが試しプレイをした時の痕跡だと思われる。

データを見ると、お客さんのプレイ時間は長くても30分程度、多くは5分以内に席を離れます。原因としては「他の企画も見たい」という事情に加え、「よくわからなくてやる気がダウンした」というケースも考えられます。

これを避ける具体的な手法として、私は「難易度インフレ」の導入をおすすめします。(某Y氏がサークル内で発言していたことでもあります。)

  • 序盤: 誰でもクリアできるほど簡単にする(成功体験を与える)
  • 中盤以降: 急激に難しくする(インフレさせる)

「最初は簡単だったのに、どんどん難しくなってやられた!次はもっとうまくやれるはず!」と思わせることで、短時間でも満足感とリプレイ性を提供できます。 また、リザルト画面で面白いテキストを表示するなど、ゲームオーバー自体を楽しませる工夫も有効です。

これらのことは、桜井政博さんの動画でも述べられています。以下の動画もぜひご覧ください

少し話の内容が違うかもしれませんが、言いたいことは同じだと思います。遊んでくれたお客さんを逃がすな!ということですね。

これらの実例を以下で紹介していきます。

実例紹介

では、実際にこれらの理論を取り入れて成功した事例を見ていきましょう。

実例1:『ふらっぴーX』

私がいわゆる「Flappy Bird」系ゲームに、難易度インフレ要素を加えた作品です。制作期間はわずか6時間(大学祭1日目と2日目の間に制作)でした。

データが残っていないためスクリーンショットなどが載せられません、申し訳ないです。

以下の記事にフラッピーについて述べられています。ぜひ読んでみてくださいまし。

サムネは関係ないゲームです。わかりずらくてごめんなさい

【このゲームの要素】

  • スペースキーでジャンプ
  • 敵に触れたらゲームオーバー
  • 画面外に出たらゲームオーバー

要素はたった3つ。マリオよりも少ないですが、これで十分です。 「操作はスペースキー1つで完結(リトライ含む)」「30秒程度で敵の速度がインフレする」という2点を徹底した結果、大学祭2日目で最も遊ばれたゲームの一つとなりました。 「操作がわからない」「面白さがわからない」という離脱要因を完全に排除できたのもよかったかなと思います。

実例2:『釣行記』

こちらは後輩の「セイ2世」が制作した釣りゲームです。 タイミングよくキーを押して魚を釣るゲームです。

【このゲームの要素】

  • 魚影に合わせてSpaceキーを押す
  • ゲージが出るのでタイミングよくSpaceキーを押す

めちゃくちゃシンプル!

リザルト画面には一言コメントが述べられており、ユーモアに富んだ文章が練られています。(テキストは某R氏が担当)。お子さんと一緒に遊んでいる親御さんも笑顔になれるいい工夫だと思います。

そら痛いだろ。フォントがシュールでいい感じ。

通常、釣りゲームと言えばマウス操作ででルアーを投げる場所を決定する、などの操作を入れがちです。
しかし、このゲームはほとんど「Space」のみ。 小学生には難しいマウス操作を排除し、直感的なタイミングアクションに絞った素晴らしい設計だと思います。

コレクション要素などもあり、埋めてみたい……!となるのもいい点だと思います。リプレイ性が刺激されています。

実際大学祭当日でもかなり遊ばれており、作った本人もかなり喜んでいました!いい話!

たぶん次の展示会でも表示されるのかな?なのでぜひ来てみて遊んでみてください!

記事のまとめ:大学祭で愛されるゲームの鉄則

最後に、今回ご紹介した「大学祭でウケるゲーム制作」の重要ポイントをまとめてみました。これから制作に取り掛かる際は、ぜひこの4点を意識してみてください!がんば!

  1. ターゲットは「子供と普段ゲームをしない人」
    • 複雑なルールや専門用語はNG。直感だけで理解できる設計を目指しましょう。
    • 誰でも楽しめるゲームを目指そう!
  2. 操作は「極限までシンプル」に
    • キーボード操作はハードルが高い。「WASD」は避け、スペースキーやエンターキーなど、押しやすいキー1つで完結させるのが理想。
  3. 「開始3分」で勝負する
    • プレイ時間は短いです。「最初は簡単(成功体験)→途中から激ムズ(挑戦意欲)」という「難易度インフレ」の構成で、短時間でも濃い体験を提供しましょう。
  4. 完璧でなくていい、まずは展示しよう
    • 技術力よりも「楽しませたい」という工夫が大切です。あなたのアイデアが、誰かの笑顔になる瞬間をぜひ体験してください!

おわりに

いかがだったでしょうか。

もちろん、「シンプルでなければウケない」わけではありません。操作が複雑でも、高い技術と完成度で魅了するゲームはたくさんあります。 しかし、もしあなたが「どんなゲームを作れば遊んでもらえるか分からない」と悩んでいるなら、今回の記事を参考に「シンプルさ」「客層への配慮」を取り入れてみてください。

自分の作ったゲームを目の前で楽しんでもらえる経験は、クリエイターとして何よりの財産になります。 次のゆかた祭りやゲームジャムで、あなたのゲームがたくさんに人に遊ばれることを応援しています!

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