生協PCってなに?
広島大学では、ノートパソコンの使用が必須で、学生は一定の要件を満たしたPCを持参する必要があります。そこで登場するのが「生協PC」。これは大学生協が学生と一緒に選定したPCで、授業に必要なスペックを備えていますが、創作活動の面ではどうなのでしょうか?
実は、私は約2年間、生協PCを使って作曲とイラスト制作に取り組んできました。今回はその体験をもとに、生協PCのパフォーマンスについてお伝えします!
この記事を書いた人
風呂敷(04)サウンドクリエイター兼イラストレーター
ゲーム音楽が大好きで、最近はNintendoMusicを聴き漁る日々。
注意:この記事は私個人の体験に基づいています。PC選びを考えている方は、具体的なスペックを他の記事で確認することをお勧めします。後輩が書いた記事も参考にしてみてね。
生協PCのスペック
私が使っていた生協PCは、以下のようなスペックでした:
- 機種:Surface Pro 7+
- CPU:Intel Core i5(第11世代)
- メモリ:8GB
- ストレージ:128GB(内蔵)+ 128GB(microSDカード)
当時、PCに詳しくなく、デジタル制作も初心者だった私は、この生協PCで安心してスタート。最初はこれで十分だろうと思っていました。
イラスト制作
初心者から中級者にオススメ
主な用途としては、ゲームに登場するキャラクターの立ち絵や、小物、フライヤーなどのデザインを制作しました。使ったソフトは、ほぼMediBang Paint Pro。無料とは思えないほど優秀なブラシが揃っており、これ一本でほとんどの作業をこなしました。
タブレットPCなので、タッチパネルと専用ペンを使って、液タブのように絵を描けます。液タブは高価で10万円近くしますが、生協PCならパソコンも絵も描けるのでコスパ最強。
ただ、キーボードを取り外してタブレットモードにするのは少し難しく、画面を指で操作する時に動作が重くなることがありました。そのため、キャンバスの拡大縮小や回転をする時は、キーボードショートカットを使っていました。これが結構変な体勢を招き、結果的に体を痛める原因に…(皆さんも気をつけて!)
ペン先の消耗
毎日絵を描いていると、ペン先がすぐに消耗するので、半年ごとに交換。ペーパーライクフィルムも試しましたが、交換頻度が高すぎて断念しました。
スペック的な問題
イラストを描いている分には、特に不満はありませんでした。ただ、画面全体にノイズや加工をかけたり、大きなキャンバスで描くと重くなりがち。レイヤーを増やしすぎると、動作が遅くなるので、大事な作品はバックアップを取りながら作業していました。
PCの限界を感じた時に作っていた作品。レイヤー80枚にもなる大作です。線を引く度にカクついて大変だった~
どのサイズまで快適に描ける?
私が快適に描ける範囲は、360dpiで1200~3000pxの大きさ。大体ハガキ〜A4の大きさになります。したがって、簡単なイラストをSNSに投稿したり、小さめのグッズ制作をしたりするのであれば快適に動きます。
一方で、A2サイズのポスターや超美麗な背景イラストを描く場合、メモリ8GBだと厳しいかもしれません。大作を目指すなら、もっとスペックの高いPCを選ぶべきですね。
作曲(DTM)
初心者には十分だが、中級者にはちょっと物足りない
30秒~1分半の短いループのBGMや簡単なSEを制作していました。
作曲(DTM)は、イラスト制作よりもPCに対する要求スペックが全体的に高いです。
まず、DAW(作曲アプリ)をインストールする必要があり、エントリー版でも10GB以上の容量が必要です。私が使っていたPCは実質128GBのストレージなので、Officeソフトや他創作ソフト、Steamで買ったゲームを数個入れるとすぐに満杯になります。
選んだDAWは「Studio One」で、半年間無料版のPrimeを使い、その後有料版のArtistに切り替えました。
無限に増える外製プラグイン
ストレージ問題はここで終わりません。音楽制作していくと、だんだん良い音質の楽器や内製ツールでは賄えない尖った音が欲しくて、外部製のプラグインを使いたい場合がでてきます。
ストレージ不足は外付けSSDで乗り切りましたが、有名なシンセやプラグインを使うと、起動に時間がかかり、操作中にPCが落ちるのではないかとヒヤヒヤしました。VitalやKOMPLETEとか、DTMって意外とグラフィック要求することがあるんですよ…
節約作曲
最終的には、内蔵プラグインを使って5トラックくらいで作曲し、どうしてもこだわりたい部分で外部プラグインを1~2トラックだけ追加するというスタイルになりました。エフェクトも種類と数によるのですが、リバーブやディレイは重たくなる傾向がありました。EQやコンプも最低限の調整にとどめています。
Studio Oneの内蔵プラグインは良質なので、使えないことはないんですけど…やはりDTMは札束で殴るゲームだったか
2年間使った結果
バッテリーとコストパフォーマンスの低下
2年間こんな感じでPCを酷使しすぎたので、バッテリーがかなり消耗し、長時間の使用が難しくなりました。PCに負荷をかけるとすぐに熱くなり、電源をつなげっぱなしにして作業することが多くなりました。余分なアプリを消してバッテリーパフォーマンスを最高状態にして、「Surface君、頑張れ!」と声をかけることもしばしばありました。
また、GSDでは普段、Discord上で創作配信やゲーム配信をして楽しんでいます。作業風景を配信しながら仲間と共有するなど、創作にプラスアルファの操作を加えると、どうしても動作が重くなりました。
その後
デジタル制作にも慣れ、もっとクオリティの高い作品をストレスなく作りたくなった私は、大学3年生のタイミングでデスクトップPCを購入しました。新PCはゲームも楽しめるように設計して、快適な作業環境を整えました。
- 機種:raytrek
- GPU:GeForce RTX 4060 8GB
- CPU:Intel Core i7(第14世代)
- メモリ:32GB
- ストレージ:1TB(内蔵)+ 1TB(外付けSSD)
うーん、ちょっとオーバースペックかも?でも、これで従来の活動に加えて3Dモデルや動画制作にも挑戦できそう。10年は使い倒すつもりです!
まとめ
初心者にはぴったり!
ブラウザやOfficeソフトが快適に動かせるように設計された「生協PC」、不便な点を多く述べてしまいましたが、デジタル制作を始めたばかりの初心者にとって、非常に使いやすい選択肢だと思います。新しい趣味に挑戦してみたいと思ったときに、アプリケーションがしっかり起動し、ある程度のレベルまで働いてくれるのは良い点だと思います。特にタブレットPCをイラスト制作に利用する場合は、板タブや別途タブレットを買うなどの初期投資を抑えられるのでオススメできます。(最近の新入生はiPadを使うケースが増えているので、06以降の新入生とは勝手が違う部分もあると思いますが)本業ではないので詳細は省きますが、Blenderも簡単な小物なら作れました。
私自身、新しいパソコンを買う際いろんな比較サイトを巡って吟味していたのですが、「初心者、中級者って具体的にどのレベルやねん!!」とやきもきしていたので、今回記事を書いた次第です。私の記事を見て、実際に「この程度のスペックのパソコンなら(なんかいろいろ苦労してそうだけど)このレベルの作品が作れるんだ~」と参考にしてくれたらうれしいです。
というわけで、恐れずにまずは創作の第一歩を踏み出してみましょう!
そして、もし創作を仲間と楽しみたいと感じたら、ぜひGSDで一緒に制作しましょう!
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。